平成19年度 布教教化に関する告諭

今、情報化社会の中で、世界の各地からさまざまな声が聞こえてきます。
その声は、優しく温かみのあるものより、不安と不信に満ちたものが、より多くなっています。
その声に、私たちはどう応えたらよいのでしょうか。
  世界各地で起きている争いのために、何物にも代えがたい尊い生命が失われ、心がおびえ、冷えきってしまった人びとが大勢います。
  国内に目を向けると、お金や物ばかりが優先され、人や自然への慈(いつく)しみの心を軽んじ、本来安らぎの場であるべき家庭や学校までが、危機にさらされています。
  なぜ人は、「いのち」の尊さや、人とのかかわりあいの大切さを見失い、他を思いやる心をなくしてしまったのでしょうか。
  このような時代だからこそ、曹洞宗(そうとうしゅう)は信仰生活の実践目標を「同事行(どうじぎょう)」と定め、「人権・平和・環境」の大切さを説き続けているのです。
  『修証義(しゅしょうぎ)』に「人間の如来(にょらい)は人間に同ぜるがごとし」とあります。
  人間であられたお釈迦さまだからこそ、私たちの悩み苦しみを、ご自身のこととして、慈愛の手をさしのべられ、私たちを導いてくださるのです。
お釈迦さまの慈悲の心に目覚め、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」ととなえつつ、家庭、学校、そして社会で、お互いに思いやり、限りなく慈(いつく)しみ合う心を、いっぱいにするように、努めてまいりましょう。


 平成19年度布教教化方針

我が宗門の布教教化は、正法の興隆と曹洞禅の宣揚を願い、人びとを心の不安や苦悩から救済し、正しい信仰生活を確立することが本旨です。混迷する社会の中にあって、強い信念と行動力をもって、人権の擁護・平和の維持・環境の保全を実践していかなければならないのです。
  その実践を推進していくために、本年度も「同事行」を提起し、多くの人びとと和合して、み佛(ほとけ)の絆(きずな)を深めることを願い、次の如く布教教化方針を定めました。
1、  仏法僧の三宝に帰依し、「一仏両祖」を奉祀して、正しい信仰心を育んでいかなければなりません。そのために、参禅会・授戒会・梅花講・国際布教をはじめとする各種の布教教化活動の中で、「南無釈迦牟尼仏」のおとなえと、両祖様の教えの普及に努めます。
2、  この世に存在するすべてのものは、相互に支え合い、助け合って生きているのです。経典には、「衆生病むがゆえにわれ病む」と示されています。「いのち」を尊ぶために、常に同悲・同苦の心を持ち続けなければなりません。
部落差別・人種差別・性差別など、あらゆる差別を解消するために、人権啓発活動に取り組みます。
  また、脳死、臓器移植、クローン技術の進歩がもたらした諸問題、さらには、現代の社会に広がりつつある生命軽視の風潮など、「いのち」の尊厳のありようが問われています。宗教者として、これらの現代的課題に取り組みます。
3、  国の内外で起こる暴力・いじめ・貧困・抑圧にさらされている人びとを思う時、宗教者として、人の心の安寧と、社会の平和が続くことを願い、戦争の愚かさと平和の大切さを訴えなければなりません。
そのために、ボランティア活動などに積極的に参加し、共に喜びを分かち合える平和な社会の実現を目指します。
4、
 人間をはじめ、すべての生けるものを支えてきたのが、地球環境です。
  私たちは文明の発展とともに、自然を破壊し、環境を汚染してきたことを反省しなければなりません。
 そのために、地球環境を護り、自然と共に生きていくための「グリーン・プラン」運動を継続し、日常生活の中で、できることから、改善の努力を積み重ねていきます。


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